イジワル御曹司は偽のフィアンセ様❤︎
さすがにこの連続音に専務も驚き気味に私のバッグに視線を置く。
確認したいところだけど、食事中にスマホをいじるのは失礼かと思い、無視していたのだが
今度は電話の着信音がなった。
マナーモードにしておけばよかったと後悔。

「電話でなくていいのか?」

「え? いいです」

「いや、電話もメールも連続だっただろ? 俺はいいから電話にでたら?」

「すみません」

私は恐縮しながらバッグの中で鳴っているスマホを取り出す。
相手は母からだった。
全くこんな時に一体なんなのよ。

「母からです。すみません」

謝りながら席を立ち少し離れたところで電話に出る。

「もしもし?」

『もう〜、やっと出た』

「やっと出たじゃないわよ。今……仕事中なの」

正確にいえば仕事の延長線上だと思う。

『あら、そうだったの。さっき画像送っておいたから見ておいてね』

「画像?」

『なにいっているの。お見合い相手の画像。それと釣書? あれも写真で撮ったからそれも一緒にみておいてね』

「えー? 本当に、本当にしなくちゃダメ?」

『だめ。お父さんの顔に泥を塗る様なことしないでね。時間と待ち合わせ場所もメールで送ったから』

母はいつも通り話を済ませると一方的に電話を切った。
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