イジワル御曹司は偽のフィアンセ様❤︎
最悪だ。
とりあえず送られた画像を見てみよう。
メールを開くと、男性のドアップの写真が出てきた。
だがその画像を見て顔が引きつった。
自分の容姿に自信はないが、選ぶ権利はある。
他の写真を見てさらに落胆する。
身長は160センチでぽっちゃり系といえば聞こえはいいが、髪の毛も少し薄いかんじで目も細く髭が濃い。
この相手とのお見合いを断ることで父の顔に泥を塗ることになるのなら、私が代わりに泥をかぶりたい気分だ。
無理。
会ってもいないのにと思うかもしれないが、こういう写真って割と写りの良いものを選ぶ傾向がある。
ということはこれがいい写真なら実際に会ったらこの写真以下という可能性が高い。
もしかしてこれっていままで何かと理由をつけてお見合いを回避し続けてきたツケですか?

「どうした? 何かあったのか?」

専務が心配そうに声をかけてきた。

「い、いえ……なんでもありません」

食事を中断させてしまったことを思い出し、慌てて席に戻る。
だけど顔に出てしまうのだ。

「なんでもありませんって顔じゃないね。何があった?」

あ〜。あの画像を見た後に専務の整った顔をみたら専務が王子様に見える。
もう、わたしったら何考えているの?
あまりの衝撃の大きさに頭がおかしくなっちゃった?

「おい。やっぱ変だぞ」

「変ですよね〜。さっきの電話は母からで……今週の日曜日にお見合いすることになって……。もちろん私にその気はないのですが、お相手が父の会社の上司のご子息で断れないのです」
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