イジワル御曹司は偽のフィアンセ様❤︎
「おはようございます」
「はようございます」
課長と息が合わず、「おはようございます」の「お」が出てこなかった。
すると専務の足が私のまえでぴたりと止まる。
「お、はよう」
「お」をわざと強調するような挨拶。これはわざとだ。
きっと面白がってるんだ。そうおもいながら顔を上げると笑顔の専務と目があいドキッとした。
専務が座ると、課長が今日のスケジュールを伝える。
専務自身もわかっているのだろう。頷きながらパソコンを立ち上げる。
最初の会議が十時。それまでの時間が唯一デスクワークができる時間だ。
「鴨居さん」
突然名前を呼ばれた。
「はい」
「昨日は疲れたでしょ。よく眠れた?」
眠れるわけないでしょ。なんて言えるわけがなく「はい」と答えたが、私のことを知っている専務は私が眠れなかったことなどわかっているに違いない。
「そうなんだ」
これは絶対わざといってる。
君は初めてキスしたのに眠れたんだといっているようにしか聞こえなかったからだ。
「はい。健康管理も秘書の大事な仕事の一つですので、ちゃんと眠りました」
田辺さんの受け売りだ。でも今はこうでも言わないと何を言い出すかわからない。
「わかった。その調子で頑張ってくれ」
「はい」
よかった。なんとか切り抜けたかな。そう思ったのだが……。
「汐田課長」
専務が課長を呼んだ。
「はい」
「日曜日のゴルフコンペだけど、急用ができてしまったんだ。申し訳ないが誰か行けそうな人いないかさがしておいてくれないか? 最悪の場合、ゴルフ好きの社長にたのんではみるけど」
え? 急用ってまさか……この日は私のお見合いの日じゃない?
「はようございます」
課長と息が合わず、「おはようございます」の「お」が出てこなかった。
すると専務の足が私のまえでぴたりと止まる。
「お、はよう」
「お」をわざと強調するような挨拶。これはわざとだ。
きっと面白がってるんだ。そうおもいながら顔を上げると笑顔の専務と目があいドキッとした。
専務が座ると、課長が今日のスケジュールを伝える。
専務自身もわかっているのだろう。頷きながらパソコンを立ち上げる。
最初の会議が十時。それまでの時間が唯一デスクワークができる時間だ。
「鴨居さん」
突然名前を呼ばれた。
「はい」
「昨日は疲れたでしょ。よく眠れた?」
眠れるわけないでしょ。なんて言えるわけがなく「はい」と答えたが、私のことを知っている専務は私が眠れなかったことなどわかっているに違いない。
「そうなんだ」
これは絶対わざといってる。
君は初めてキスしたのに眠れたんだといっているようにしか聞こえなかったからだ。
「はい。健康管理も秘書の大事な仕事の一つですので、ちゃんと眠りました」
田辺さんの受け売りだ。でも今はこうでも言わないと何を言い出すかわからない。
「わかった。その調子で頑張ってくれ」
「はい」
よかった。なんとか切り抜けたかな。そう思ったのだが……。
「汐田課長」
専務が課長を呼んだ。
「はい」
「日曜日のゴルフコンペだけど、急用ができてしまったんだ。申し訳ないが誰か行けそうな人いないかさがしておいてくれないか? 最悪の場合、ゴルフ好きの社長にたのんではみるけど」
え? 急用ってまさか……この日は私のお見合いの日じゃない?