イジワル御曹司は偽のフィアンセ様❤︎
課長から引き継ぎは午後から行うといわれ、私は経理での最後の業務を急いで終わらせると引き継ぎに必要な項目などをまとめた。
特に彼女たちがミスしやすい点や注意すべき点を細かくアドバイスした。
引き継ぎを終えると今度は机の中の私物を箱にしまう。といっても持っていく私物なんて筆記用具ぐらいだ。
机の上も不要なものを置かないようにしていたから荷物というほど物はなかった。
そして慌ただしい1日が終わった。

「は〜疲れた」

独り言を言ってしまいたくなるほどの疲れは久しぶりだ。
私はベッドにダイブするようにうつ伏せになった。
しばらくぼーっと何も考えないようにしていたが、ムクっと起き上がり、バッグから人事異動の紙を取り出す。
「なんでよりによって秘書なのよ」

どうしても納得できないのだ。
私はスマホで秘書と検索してみた。
すると、上司の身の回りの世話とかメール電話対応とかスケジュール管理などなど本当に経験のない仕事ばかりだった。
確かにメールや電話は経験あるけど……役員レベルともなるとメールの相手も同等もしくはもっと上だったりする。
不安しかない。
それにしても何で私なの?
頭の中でいろんな「どうして」が堂々巡りしている。
そもそも神谷専務のことだって知らないのよ……って思ったところでどうなるわけでもない。
こんな時はご飯食べてお風呂にゆっくり入って寝よう。そうおもいながら立ち上がったその時だった。
突然スマホが鳴った。
誰だろうとスマホを確認すると母からだった。
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