イジワル御曹司は偽のフィアンセ様❤︎
しばらく走っていると、ちらほらと民家や田んぼが現れてきた。
そして再び山道をぬけると、大きな川が道路と並行して流れていた。
さっきとはちがい、透き通るようなきれいな川だ。
すると車は駐車場という大きな看板のある方へ入っていった。
そこには他県ナンバーの車が二十台ほど止まっていた。
車を降りて、道路を渡ると、木造平家の建物があり、そこに「やな」と書かれていた。

「ここで鮎のつかみ取りをしてとった鮎を料理してもらえるんだ」

「鮎のつかみ取りですか」

店の中にはいると受付があり、いろんなコースがあった。
バーベキューもできるし、川遊びもできる。鮎のつかみ取りは、一コース三匹と数が決まっている。
専務はすでに予約をしていたようで、名前をいうと座敷に案内してくれた。
個室に案内されると窓を開けた。
すると爽やかな風がふわっと部屋に入る。
川の方をみると掴み取りを楽しんでいる人たちの姿がよくみえる。
子供たちの楽しそうな声も聞こえてくる。
魚なんて掴んだことがない私はちょっとドキドキしていた。
すると、館内アナウンスが私たちを呼んだ。

「いくよ」

専務が手を差し出した。
こういう時は手を乗せるのが正解だよね。
ドキドキしながらも手を乗せると、専務がギュッと手を握る。

「いいね」

合格をもらえたようで嬉しくなる。
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