イジワル御曹司は偽のフィアンセ様❤︎
「やっぱり獲れたての魚はおいしいな」

「はい美味しいです」

「この塩焼きも塩加減が絶妙で美味しいよ」

早く食べろと促している。
専務の塩焼きはすでに綺麗に骨だけが残っていた。
どうしよう。あんなに上手に食べられない。

「もしかして塩焼き苦手?」

「いえ、好きです。好きなんですが……」

「じゃあ鮎が苦手だった?」

私は首を横に振って否定した。

「違うんです。私魚を綺麗に食べれないんです。とにかくびっくりするぐらいひどいんです」

すると修平さんの手が伸びて塩焼きを皿ごと自分方へ引き寄せた。

「え?」

「いいから」

そういうと、紙ナフキンを軽く当て、まず尻尾を落とす。背中とお腹のヒレもとる。
するとその状態で修平さんは私の方に皿を返した。

「俺の言う通りにやってみて」

「はい」

「まず、箸で魚の身を押して」

「はい」

「じゃあ今度は鮎を立てて。背中を上にね」

言われた通りに鮎の背中を上にした。

「そしたらさっきのように箸で押して。それができたら反対側にたおしてまた押す」

「こう?」

「そう。そしたらエラの少し横……そうそうその辺。中骨を切らないように皮を取る」

「え? できるかな?」

緊張しながら言われた通りにやってみる。

「そうそう。じゃあ反対側も同じようにやってみて」

「はい」

「じゃあ最後。一度背中を上にして箸で身の部分を押さえながら頭を抜く」

ゆっくりと頭を引っ張ると、中骨が綺麗に抜けた。
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