イジワル御曹司は偽のフィアンセ様❤︎
「修平さん」
「なに」
不安な私とは対照的でこんなゴツゴツ道でも余裕の専務。
「普通のカップルでこれが初デートだったら絶対に別れてますよ」
「なんで?」
相変わらず平然としている専務。
「なんでじゃないですよ。真ん中の線からは草は生えてるし、さっきから窓に植物の葉はぶつかってくるし、道はくねくねだし。絶対に出そうです」
「何が?」
「動物とか……見えないものまで出てきそうです」
「動物は出るかもしれないね。でも俺は別れないよ」
そう言う問題じゃないんだけど……。
そんなひやっとする峠を越え、少しまともな道に出たかと思ったら、今度はトンネルが見えてきた。
「修平さん!」
また叫んでしまった。
「なに?」
「あのトンネル通るんですか?」
「そうだけど?」
前方に見えるトンネルからぼんやりとしたオレンジのランプが光っている。
どう見たって古い。
新しいトンネルは綺麗なグレーだが、このトンネルは入り口が石。
そのあいだから苔がはえている。
私が怖くて目を強く閉じてはやくトンネルを抜けてくれと願っている。
その横で専務は面白がっているのか笑っている。
「もう! なんでそんなに笑うんですか? 私本気で怖いんですよ」
そのときだった。
彼が私の手をぎゅっと握った。
「俺がいるんだから大丈夫だよ」
本当はもっと文句を言いたい気分なのに、そんなこと言われたら何も言えなくなる。
「なに」
不安な私とは対照的でこんなゴツゴツ道でも余裕の専務。
「普通のカップルでこれが初デートだったら絶対に別れてますよ」
「なんで?」
相変わらず平然としている専務。
「なんでじゃないですよ。真ん中の線からは草は生えてるし、さっきから窓に植物の葉はぶつかってくるし、道はくねくねだし。絶対に出そうです」
「何が?」
「動物とか……見えないものまで出てきそうです」
「動物は出るかもしれないね。でも俺は別れないよ」
そう言う問題じゃないんだけど……。
そんなひやっとする峠を越え、少しまともな道に出たかと思ったら、今度はトンネルが見えてきた。
「修平さん!」
また叫んでしまった。
「なに?」
「あのトンネル通るんですか?」
「そうだけど?」
前方に見えるトンネルからぼんやりとしたオレンジのランプが光っている。
どう見たって古い。
新しいトンネルは綺麗なグレーだが、このトンネルは入り口が石。
そのあいだから苔がはえている。
私が怖くて目を強く閉じてはやくトンネルを抜けてくれと願っている。
その横で専務は面白がっているのか笑っている。
「もう! なんでそんなに笑うんですか? 私本気で怖いんですよ」
そのときだった。
彼が私の手をぎゅっと握った。
「俺がいるんだから大丈夫だよ」
本当はもっと文句を言いたい気分なのに、そんなこと言われたら何も言えなくなる。