イジワル御曹司は偽のフィアンセ様❤︎
Is This Love?
「と、泊まる?」

私は咄嗟に後退りしてしまった。
だって泊まるってお布団敷いて寝るってことでしょ?
流石にそれは……断ろうとしたのだが「ここからみる夜空は最高なんだよ」と気になるワードを出され、聞き返す。

「え? 夜空?」

「ああ、ここは都会と違って空気が澄んでるし、周りは一面畑や田んぼでビルもマンションもないからすごく綺麗なんだ」

夜空を見るために……だったんだ。
私はてっきりちょっと大人な想像をしてしまい恥ずかしくなった。

「そ、そうなんですか〜。自然のプラネタリウムですね」

「ああ。見たくない?」

「見たいです」

即答していた。
「明日の朝は早く出なきゃいけないけど、今からはゆっくりできるから、田舎を満喫してよ」

「はい」

それから私は専務から家の説明を受けた。
土間や囲炉裏は昔ながらという感じだが、トイレもバスルームもリフォームされていてとても綺麗だった。
部屋は他に3つほどあり、一つは寝室。大きなベッドがドカンと置いてあるだけの部屋。もう一つは、仏間。そして最後の部屋は……。
本棚に机に、ベッド。ここは昔ここに住んでいた時の部屋でその当時のままだった。
本棚には参考書や古い図鑑。漫画に……洋書。
あまり統一感のない本の種類。
机もあって、ここで勉強をしていたのだろ。
ベッドはシングルで本当に男の子の部屋という感じだった。

「ここは使ってないんだ」

「そうなんですか?」

「片付けることもできるんだけど、ここには爺ちゃんやばあちゃんとの思い出があってあえてこのままにしてある」

そういうと本棚から何かを取り出し、私に差し出した。
それを見た私は思わず「あっ!」と声を上げた。
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