イジワル御曹司は偽のフィアンセ様❤︎
「改めて乾杯する?」

「はい」

互いに相手のお猪口にお酒をつぎ乾杯をする。
すっきりした飲み口のお酒は、地酒だと専務が言った。

「知る人ぞ知る酒で、あまり手に入らないんだ」

「美味しいです」

お酒が進むにつれ、空にはたくさんの星が見え始める。
しかも星の輝きが都会の何倍もきらきらしてて、手を伸ばせば届きそうなほど近く感じる。
私はあまりの美しさに靴を履き、庭に出た。

「修平さん、本当にすごいですね。星が近いです」

両手を上にあげる。

「こんな星みたことないだろ」

「はい。プラネタリウムでしかみたことないです」

すると専務がクスクス笑う。

「あれは作り物だろう。これは本物」

「そうでした。ごめんなさい」

すると専務も庭に出た。
プラネタリウムなんて比じゃないほど、とても綺麗な星に見入ってしまった。

「これをどうしても君に見せたかったんだ」

私の両親に会う前にもっとお互いを知るため、私たちは出かけた。
だけど私はそんなことすっかり忘れていた。
今日、専務のことをたくさん知って、何度胸がドキドキしただろう。
これは間違いなく好きなのだと思う。
だけど……それを口に出せない自分がいた。
それは彼が私の上司である前に、教師と教え子の関係だったから?
そんな過去のことを引き合いに出すのはおかしいとわかっているんだけど、真面目な性格が邪魔をして踏み込めない。
だけど気持ちだけは大きくなってて……こんな自分がすごく面倒くさい人間に思えて仕方がない。
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