イジワル御曹司は偽のフィアンセ様❤︎
「それは——」
2階から勢いよく階段をおりてきたのは、妹の綾だった。
「お姉ちゃんの彼氏き——嘘でしょ」
綾は専務を見てまるで固まったようにその場に立ち尽くした。
「ちょ、ちょっとこれどういうこと?」
「後で説明する」
階段で立ち尽くす綾を置いて私たちは和室へと向かった。
「陽奈さんと結婚を前提にお付き合いしております。神谷周平です。本日は陽奈さんとの結婚のお許しを頂きたくご挨拶に伺いました」
専務は深々と頭を下げた。
「頭をあげてください。娘を選んでいただきありがとうございます」
相手が大企業の御曹司だけあって父が恐縮する。
「陽奈に彼氏がいるなんて全然知らなくて……いきなり結婚って言われたときはびっくりしたけどこんな素敵な男性で……娘には、もったいないくらいで」
なんだか母が一番興奮しているようだ。
「ところで結婚の時期はかんがえているのか?」
元々婚約者の振りをしてもらうだけのつもりだったし、距離が縮まったのは昨夜だ。
それに正直これが本当の挨拶なのか、それともその場しのぎの挨拶なのかはわからない。
「できれば早くと言いたいところなんですが、こっちに赴任したばかりでバタバタしてまして、彼女……陽奈さんも秘書課に異動してまもないものですから互いの気持ちにゆとりができた時にと思っております」
私は専務の話を聞きどこかほっとしていた。
親密な関係になっても今はまだ結婚したいまでの気持ちにはなっていなかったからだ。
それよりももっと彼のことを知りたいし、秘書の仕事だってまだ半人前以下。
せめて一人でこなせるようになりたい。
父も母も本当は早く結婚して欲しいと思っているのだろうけど、専務の気持ちを尊重してくれた。
2階から勢いよく階段をおりてきたのは、妹の綾だった。
「お姉ちゃんの彼氏き——嘘でしょ」
綾は専務を見てまるで固まったようにその場に立ち尽くした。
「ちょ、ちょっとこれどういうこと?」
「後で説明する」
階段で立ち尽くす綾を置いて私たちは和室へと向かった。
「陽奈さんと結婚を前提にお付き合いしております。神谷周平です。本日は陽奈さんとの結婚のお許しを頂きたくご挨拶に伺いました」
専務は深々と頭を下げた。
「頭をあげてください。娘を選んでいただきありがとうございます」
相手が大企業の御曹司だけあって父が恐縮する。
「陽奈に彼氏がいるなんて全然知らなくて……いきなり結婚って言われたときはびっくりしたけどこんな素敵な男性で……娘には、もったいないくらいで」
なんだか母が一番興奮しているようだ。
「ところで結婚の時期はかんがえているのか?」
元々婚約者の振りをしてもらうだけのつもりだったし、距離が縮まったのは昨夜だ。
それに正直これが本当の挨拶なのか、それともその場しのぎの挨拶なのかはわからない。
「できれば早くと言いたいところなんですが、こっちに赴任したばかりでバタバタしてまして、彼女……陽奈さんも秘書課に異動してまもないものですから互いの気持ちにゆとりができた時にと思っております」
私は専務の話を聞きどこかほっとしていた。
親密な関係になっても今はまだ結婚したいまでの気持ちにはなっていなかったからだ。
それよりももっと彼のことを知りたいし、秘書の仕事だってまだ半人前以下。
せめて一人でこなせるようになりたい。
父も母も本当は早く結婚して欲しいと思っているのだろうけど、専務の気持ちを尊重してくれた。