イジワル御曹司は偽のフィアンセ様❤︎

話がひと段落し、母がご飯にしましょうと席を立った。
私も何か手伝おうとキッチンへとむかったのだが……。

「お姉ちゃんちょっと」

「え？」

驚く間も無く綾に手を引かれ、私たちは２階へ行った。

「ねえ、あの人神谷先生だよね」

やっぱりばれるよね。あのルックスじゃあ……。

「そう。だけど今は先生じゃないよ」

「……知ってる」

なぜか綾の表情は暗く、私たちのことを快く思っていないように見えた。

「今は私の会社の専務よ。私は彼の秘書」

「そうなんだ。だったらお姉ちゃんは先生がなんで学校辞めたか知ってるよね？　知ってて結婚しようとしているの？」

いつになく厳しい表情の綾。

「元々会社を継ぐことになってたらしいけど、それまでは教師をしてたの。だけど社長が倒れて、それで教師を辞めたって聞いてるけど」

綾は私をずっと見つめると吐き捨てるように

「それが嘘って言ったらお姉ちゃんどうする？」

「え？　嘘って。私は本人からそう聞いたんだけど」

「……そうなんだ。だったら余計なことは知らない方がいいよ」

「ちょっと、その言い方ないんじゃないの？　気になるじゃない。教えてよ」

「ごめん。やっぱり聞かない方がいい。ごめん忘れて」

部屋を出ようとする綾を今度は私が腕掴み止める。

「待ってよ。教えて。お願い」

綾でにむ唇を噛みしばらく考えたが意を決したように私を見つめた。

「先生、私の友達を妊娠させたのよ。それがバレて教師辞めたの」

「え？」