契約夫婦の蜜夜事情~エリート社長はかりそめ妻を独占したくて堪らない~
晴香と孝也
副社長
スイッチを入れていない自動ドアの間にグイッと手を入れて開くと、途端にミンミンとうるさいセミの鳴き声が耳に飛び込んできた。
北見晴香(きたみはるか)は、肌に痛いくらいの日差しに目を細めながら、目の前の大きな通りに立ち並ぶ街路樹を見上げた。
テレビで梅雨が明けたと言っていたのはつい二、三日前のことなのに、もうすでに街は真夏のような様相だった。
ミンミンと鳴くセミの声に、夏が来たと心躍らせていたのはもう何年くらい前のことだろう。社会人の夏は、悲しいくらいに味気ない。
この歳になればこの音も、ただの騒音くらいにしか聞こえない。
ビーチにいたならきっと心地がいいだろう日差しも、日焼けは大敵のアラサーにとっては疎ましいものでしかなかった。
晴香は小さくため息を吐いて、ドアを半分くらい開けると、一旦店舗の中へ戻り、看板がわりに使っている黒板を持って戻ってきた。
北見晴香(きたみはるか)は、肌に痛いくらいの日差しに目を細めながら、目の前の大きな通りに立ち並ぶ街路樹を見上げた。
テレビで梅雨が明けたと言っていたのはつい二、三日前のことなのに、もうすでに街は真夏のような様相だった。
ミンミンと鳴くセミの声に、夏が来たと心躍らせていたのはもう何年くらい前のことだろう。社会人の夏は、悲しいくらいに味気ない。
この歳になればこの音も、ただの騒音くらいにしか聞こえない。
ビーチにいたならきっと心地がいいだろう日差しも、日焼けは大敵のアラサーにとっては疎ましいものでしかなかった。
晴香は小さくため息を吐いて、ドアを半分くらい開けると、一旦店舗の中へ戻り、看板がわりに使っている黒板を持って戻ってきた。
< 1 / 206 >