契約夫婦の蜜夜事情~エリート社長はかりそめ妻を独占したくて堪らない~
おそらくはそれが副社長久我孝也にとっての通常運転。結婚してすぐは意識して早く帰るようにしていたのだろう。
晴香のご飯はうまいと言った彼に、晴香はほとんど手料理を食べさせられていなかった。
激務が続く彼の体調が晴香は心配でたまらなかった。おそらくはこれもただの幼なじみに抱く以上の感情だと自覚はしている。でもどうしてもこの気持ちは止められなかった。
「晴香先輩、そのコーヒー私が持って行っていいですかぁ?」
声をかけられて晴香はハッとする。七瀬が晴香のお盆を覗き込んでいた。
「え? べつにいいけど…」
少々戸惑いながら晴香は答える。彼女が積極的に仕事をしたいというのはとても珍しいことだからだ。
だが七瀬の瞳がキラキラと輝いていることに気が付いて、彼女が孝也と接触を持ちたくてこの仕事に立候補しているのだと納得した。
「…じゃあ、お願いするね」
「やった」
そう言って微笑む七瀬に、後ろから梨乃が釘を刺した。
「大鳥さん、副社長に変なこと言わないでね」
それはもちろん前回、孝也が港店に来た時に彼女が飲み会に彼を誘ったことを受けての言葉だ。
だが、当の本人にはピンとこないようだった。
「変なこと?」
と首を傾げている。梨乃が呆れたようにため息をついた。
「あなたねぇ…」
「大丈夫ですよ、西沢先輩。私失礼なことは言いません。でもどうしてもあの噂のことだけは確認したいんです」
晴香のご飯はうまいと言った彼に、晴香はほとんど手料理を食べさせられていなかった。
激務が続く彼の体調が晴香は心配でたまらなかった。おそらくはこれもただの幼なじみに抱く以上の感情だと自覚はしている。でもどうしてもこの気持ちは止められなかった。
「晴香先輩、そのコーヒー私が持って行っていいですかぁ?」
声をかけられて晴香はハッとする。七瀬が晴香のお盆を覗き込んでいた。
「え? べつにいいけど…」
少々戸惑いながら晴香は答える。彼女が積極的に仕事をしたいというのはとても珍しいことだからだ。
だが七瀬の瞳がキラキラと輝いていることに気が付いて、彼女が孝也と接触を持ちたくてこの仕事に立候補しているのだと納得した。
「…じゃあ、お願いするね」
「やった」
そう言って微笑む七瀬に、後ろから梨乃が釘を刺した。
「大鳥さん、副社長に変なこと言わないでね」
それはもちろん前回、孝也が港店に来た時に彼女が飲み会に彼を誘ったことを受けての言葉だ。
だが、当の本人にはピンとこないようだった。
「変なこと?」
と首を傾げている。梨乃が呆れたようにため息をついた。
「あなたねぇ…」
「大丈夫ですよ、西沢先輩。私失礼なことは言いません。でもどうしてもあの噂のことだけは確認したいんです」