契約夫婦の蜜夜事情～エリート社長はかりそめ妻を独占したくて堪らない～

「さっきのはいったいなんだったんでしょう？」

　田所が久我を見送って、事務室に戻ってきたと同時に七瀬がふてくされたように呟いた。

「副社長、晴香先輩を気にしてるみたいでした。晴香先輩、副社長と何か特別な関係なんですか？」

　不躾とも取れる七瀬の質問に、晴香は即座に首を振った。

「まさか！」

「でも、驚かされたのは確かだわ。そもそも副社長が晴香の名前を把握していることも意外だった」

　珍しく、梨乃が七瀬に同調する。

「しかも晴香が飲み会に参加するのを良く思ってないみたいに怖い顔して…」

「な、名前は名札があるじゃない。私たちだって、他店舗の方と交流する時はさりげなく見たりするでしょう？　真面目な交流会だと思ってたのに、店長が合コンなんていうから、ちょっとガッカリしちゃったんじゃないかな」

　晴香は言い訳にもならないような言葉を口にした。七瀬が胡散臭そうに晴香を見ている。

「副社長…ひそかに晴香先輩がお気に入りだったんじゃないですか？　だとしたらさっきの言動も納得です」