契約夫婦の蜜夜事情~エリート社長はかりそめ妻を独占したくて堪らない~
晴香はここが交流会の場だということも忘れて声をあげて彼を詰った。ガヤガヤと騒がしい会場だから、大きな声自体は迷惑ではないが、副社長である彼に対する言葉としては相応しくはないだろう。
それでも言わずにはいられなかった。
「変なことってなんだよ。本当のことだろ」
「だからって…!」
田所がはははと声をあげて笑った。
「それはそれは、初恋が実るなんて滅多にあることじゃありません。副社長おめでとうございます」
他のメンバーも笑ったり手を叩いたりして、楽しそうにふたりのやり取りを眺めている。
こんなプライベートな話を会社の飲み会でするなんて、晴香からしてみればありえないと思うけれど、営業マンの飲み会ではこのくらいは当たり前のことなのだろうかと晴香は内心で呆れてしまう。
だとしても許せなかった。
「ごめん、ごめん。晴香、怒ってる?」
孝也がまた晴香を覗き込む。
晴香はぷいっとそっぽを向いた。
「怒ってません!」
テーブルにまたどっと笑いが起こった。
田所が、優しい眼差しで晴香を見た。
「北見さんが、こんな風に話せるなんてよっぽどふたりはいい関係なんだね」
「……え?」
晴香は少し意外な切り口で始まった田所の話に耳を傾けた。
「君のことは、入社の時から知っている。真面目でとても責任感が強い。営業マンの無理な要求やお客様からの理不尽なクレームにも嫌な顔ひとつせず対応してくれる。もちろんそれはとてもありがたいんだが、君自身がつらくはないのかと少し心配もしていたんだ。副社長と結婚すると聞いたときは一瞬大丈夫だろうかと思ったくらいなんだ。どういう経緯で結婚することになったのかは知らないけど上司との結婚で君が我慢し続けるようなことにならなければいいけどってね」
それでも言わずにはいられなかった。
「変なことってなんだよ。本当のことだろ」
「だからって…!」
田所がはははと声をあげて笑った。
「それはそれは、初恋が実るなんて滅多にあることじゃありません。副社長おめでとうございます」
他のメンバーも笑ったり手を叩いたりして、楽しそうにふたりのやり取りを眺めている。
こんなプライベートな話を会社の飲み会でするなんて、晴香からしてみればありえないと思うけれど、営業マンの飲み会ではこのくらいは当たり前のことなのだろうかと晴香は内心で呆れてしまう。
だとしても許せなかった。
「ごめん、ごめん。晴香、怒ってる?」
孝也がまた晴香を覗き込む。
晴香はぷいっとそっぽを向いた。
「怒ってません!」
テーブルにまたどっと笑いが起こった。
田所が、優しい眼差しで晴香を見た。
「北見さんが、こんな風に話せるなんてよっぽどふたりはいい関係なんだね」
「……え?」
晴香は少し意外な切り口で始まった田所の話に耳を傾けた。
「君のことは、入社の時から知っている。真面目でとても責任感が強い。営業マンの無理な要求やお客様からの理不尽なクレームにも嫌な顔ひとつせず対応してくれる。もちろんそれはとてもありがたいんだが、君自身がつらくはないのかと少し心配もしていたんだ。副社長と結婚すると聞いたときは一瞬大丈夫だろうかと思ったくらいなんだ。どういう経緯で結婚することになったのかは知らないけど上司との結婚で君が我慢し続けるようなことにならなければいいけどってね」