契約夫婦の蜜夜事情~エリート社長はかりそめ妻を独占したくて堪らない~
幼なじみ
日が落ちて、少し涼しくなったアスファルトの坂道を晴香は家に向かって歩いている。
子供の頃は楽に上れたこの坂道も、アラサーには少しきつい。
汗が噴き出して半袖のブラウスが肌に張り付いていた。
やっとのことで家にたどり着いた晴香はガチャリと門扉を外して、庭に入る。そして鞄から鍵を出してドアを開けた。
「ただいまー」
家の中に向かって声をかけると、キッチンからエプロンをしたままの母、広子が、驚いた様子で出てきた。
「晴香、駅に着いたら電話しなさいって言ってるじゃない。もう夜遅いのに何かあったらどうするの?」
毎日のように繰り返されるやり取りに、晴香はくすりと笑って首を振った。
「大丈夫よ、お母さん。私中学生じゃないのよ?」
「でも、駅まで迎えに行くのに…」
郊外にあるとはいえ駅から家までは人通りのある明るい道だ。迎えにきてもらうほどではない。
「それよりも、誰か来ているの? 健太郎?」
晴香は話を逸らすようにリビングへ続く廊下を見た。
リビングからは人の話し声と、夕食のいい匂い。すでに結婚して家を出ている一つ歳下の弟、健太郎が奥さんと一緒に来ているのだろうと思ったのだ。
新婚である健太郎は、近所のアパートで妻と二人暮らしだが、ちょくちょくご飯を食べに来る。
子供の頃は楽に上れたこの坂道も、アラサーには少しきつい。
汗が噴き出して半袖のブラウスが肌に張り付いていた。
やっとのことで家にたどり着いた晴香はガチャリと門扉を外して、庭に入る。そして鞄から鍵を出してドアを開けた。
「ただいまー」
家の中に向かって声をかけると、キッチンからエプロンをしたままの母、広子が、驚いた様子で出てきた。
「晴香、駅に着いたら電話しなさいって言ってるじゃない。もう夜遅いのに何かあったらどうするの?」
毎日のように繰り返されるやり取りに、晴香はくすりと笑って首を振った。
「大丈夫よ、お母さん。私中学生じゃないのよ?」
「でも、駅まで迎えに行くのに…」
郊外にあるとはいえ駅から家までは人通りのある明るい道だ。迎えにきてもらうほどではない。
「それよりも、誰か来ているの? 健太郎?」
晴香は話を逸らすようにリビングへ続く廊下を見た。
リビングからは人の話し声と、夕食のいい匂い。すでに結婚して家を出ている一つ歳下の弟、健太郎が奥さんと一緒に来ているのだろうと思ったのだ。
新婚である健太郎は、近所のアパートで妻と二人暮らしだが、ちょくちょくご飯を食べに来る。