指先で魔法を紡げたら。


でも、もしも、無責任に助けるってずっと言い続けてくれたら?

一瞬の快楽にすがりつけるなら、もうとっくにすがりついていた。

すがりつけるほどの快楽なんてもの、存在していなかったけど。



仁科は冷たい。

どうしようもなく冷たい。だけど、優しいから。


教室の中ではわたしなんていない存在なのに。誰もわたしのことを認識しないのに。目すら合わせてくれないのに。


なのに、学校が終わったら学校の人なんて誰もいない場所で待ち合わせて、学校の人は誰も知らないこの公園に来る。


冷たくて優しい。優しくて冷たい。


だから、どうしようもなく癖になってしまう。

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