雨のち木漏れ日、時々キャンディ
4
数学の教科書とにらめっこをしながら、頭を抱えるミディアムボブヘアの女子が視界に入る。
ああ、今彼女が味わっているその気持ち、わかるなあ。
私も数学は得意な方ではないし。
そして、彼女が次に放つであろう言葉もなんとなく予想がついた。
「翔吾~!ヘルプ!」
うん、予想通り。
私の前の席に座る翔吾は、芽瑠の言葉に反応して、そちらに目をやる。
「そのページの公式に当てはめる。以上。」
翔吾の答えはびっくりするほど淡泊で簡潔なものだった。
芽瑠の叫びと相反している。
「それがわからないから聞いてるんだけど。」
「そのまま数字入れるだけだろ。」
「答えが合いません~。なんで~?」
芽瑠と翔吾の言い合いは、翔吾の溜め息と同時に終了した。
諦めた翔吾は芽瑠の方を向き、ひとつずつ解説を始める。