雨のち木漏れ日、時々キャンディ
翔吾の解説を、芽瑠と一緒に私も聞いていた。
彼が一通りの解説を終えるのを見計らったように、
「雪花ちゃん。」
そう、私を呼ぶ声が聞こえてきた。
声の主は、私の隣の席の男の子。
金に近いサラサラの茶髪を自然に流した、イケメンの部類の男子だ。
名前は、湯田航希(Yuta Kouki)。
「今日の放課後、よかったらデートしない?」
そんな言葉をストレートに放つ、私の苦手な男の子だ。
湯田くんは、私に恋心を寄せている。
それは誰が見ても明白だろう。
でも、私は核心の部分を見抜いている。
湯田くんは、単に、”瀬名雪花の恋人”というブランドを手に入れたいだけだと、私は思っていた。
「やだ。」
そう、一言で彼の誘いを一蹴する。
「気が向いたらデートしようね。」
ポジティブというかなんというか、私は彼のこういうしつこいところが苦手だった。