雨のち木漏れ日、時々キャンディ
彼のポジティブシンキングは、私にとっては迷惑だ。
まだファンクラブの人たちの方が、干渉してこない分、好感度が高い。
「雪花ちゃんさ、この前、駅で男の人と一緒にいたよね。あれ、彼氏?」
湯田くんのその言葉に、私は内心焦った。
ドキッとする感じの焦り方だ。
心臓に悪い。
私がレンタル彼女として、この前のお客さんと一緒にいたところを、湯田くんに目撃されていたらしい。
現実かどうか疑いたくなるレベルの偶然。
「人違いでしょ。」
ポーカーフェイスでそう返した。
あまり言葉を並べすぎても逆に怪しまれるだけだ。
これ以上は言わないでおこう。
ああ、疲れる。