雨のち木漏れ日、時々キャンディ



「ところで、明日からテストだね。勉強は順調?」




陽平が話題を変えてくれたことで、ちょっと安心した。




「自信は、ある。」




「お、さすが。」




「数学以外なら、ね。」




私の言葉に陽平は苦笑した。



そう、私は数学が最も苦手なのだ。



他の科目はそんなに悪くない成績なのに、数学だけはいつも赤点をギリギリ免れているレベル。



模試の確立の問題の計算式がわからなくて、事象を全部並べて書き出し、答えを導き出したことがあるくらいには数学が苦手だ。




「でもね、今回は翔吾のサポートが万全だから、大丈夫な気がするの。」




「雪花は頑張り屋さんだから、きっと大丈夫だよ。」




ああ、この陽平の声音と表情が好きだ。



木漏れ日みたいに柔らかい、それらが大好きだ。



私、今ちゃんとポーカーフェイスでいられているかな。



”好き”の2文字を口走りそうになって、慌てて飲み込んだ。



その言葉は、言ってはいけない言葉。




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