雨のち木漏れ日、時々キャンディ
「雪花、最後でも大丈夫?」
運転しながら、陽平は、助手席に乗せられた私に向かって聞いてきた。
「うん。いいよ。」
「じゃあ、翔吾くん先ね。」
…………ちょっと待って、よくよく考えたら、翔吾が帰ったら、陽平と2人きりになるってこと……?
それは想定外だった。
急に鼓動が速まって、うるさいほどに聞こえてくる。
「翔吾くん、着いたよー。」
いや、待って、早くない?
少し考え事をしていただけなのに、そんなに時間経ってた……?
「椿先生、ありがとうございました。雪花、ゆっくり休めよ。」
「ありがとう、翔吾……。」
後部座席のドアが閉められ、また車が動き出す。
急に2人になった私たちの間には、沈黙の時間が流れていた。