雨のち木漏れ日、時々キャンディ
いつでも出れるように準備はしていたので、私はとりあえずエアコンの電源をオフにする。
浴衣や巾着袋や髪飾りは、1つの袋にまとめておいたので、それを手に取った。
それと、いつものバッグを持って、家を出ようとしていた私の耳に、ラインの通知音が聞こえてくる。
スマートフォンを見ると、
『了解!待ってる~。』
という、芽瑠からの返信だった。
「はあ……。」
その返信に既読をつけながら溜め息をついたとき、自分が溜め息をついていることに驚いた。
なんで溜め息なんかついているの?
陽平からの返信を期待してしまっていたから?
自分の心境に気づいたとき、胸がぎゅっと苦しくなった。
例え、陽平の計り知れない過去の苦難の全てを知ったとしても、私の気持ちはきっと変わらないのだろう。
陽平が好きだ。
それがこの胸の苦しみの理由だろう。
好きなのに好きと言えないこの関係性に、辟易しているのだ。