雨のち木漏れ日、時々キャンディ
芽瑠の部屋は、グリーンのカーテンが印象的な、ナチュラルさのある空間だ。
これは、私が初めて芽瑠の部屋を訪れた、中学生の頃から変わっていない。
「適当に座って。」
荷物を脇に置いて、私は芽瑠が座り込んだその隣に腰を下ろす。
「後で翔吾も来るって~。」
芽瑠がそう言った、そのとき、私のスマートフォンがラインの通知音を鳴らした。
はっとして、スマートフォンを確認すると、陽平からのラインだった。
『よかった。僕も今日のお祭りは見回りで行くから、どこかで会えるかもね。』
読んだ瞬間に、
「え……?」
素っ頓狂な声が出る。
しばらく固まっている私を見て、芽瑠が私のスマートフォンを覗き込んできた。
そして、嬉々とした声を上げるのだ。
「今日は椿先生を探さなきゃね~。」
「……え、陽平に会えるかも…?」
まだ現実を理解できていない私をからかうように、芽瑠が笑っている。