雨のち木漏れ日、時々キャンディ
茫然としている私の背後に回って、芽瑠が私の髪の毛をいじり始める。
「髪も可愛くアレンジして行こうね~。」
心の中で、「任せた!」と思いながら、私は陽平への返信を必死で考えていた。
すると、後ろから芽瑠が声を発する。
「普段の雪花でいいんだよ。お仕事とは違うんだから。」
その言葉を受けて、すっと何かが解けたような気がした。
そうか、今の私は、私でいいのか。
そう思うと、自然と、指をスクリーンの上で滑らせることができた。
『会えたら、凄く嬉しい!』
ありのままの私の言葉を返信として送ると、気づけば、芽瑠によるヘアアレンジはかなり進んでいた。
「どんな感じにするの?」
「低めのところにお団子作るんだけど、両サイドからの三つ編みを入れながらまとめる感じかな。」
芽瑠の返答は的確でわかりやすかった。
「浴衣だからね~。全体的にアップにした方が涼しげでしょー?……はい、後れ毛と顔周りの髪の毛、巻いていくよ~。」
手際良く進められるヘアアレンジに感心してしまう。