雨のち木漏れ日、時々キャンディ
…………日が落ちつつある。
あの後、翔吾も木崎家に到着して、私たち4人全員が、芽瑠と玲央のお母さんに着付けをしてもらい、夏祭り会場までやって来た。
翔吾と玲央の浴衣姿を見ながら、男子の浴衣姿はずるいなあと個人的に思ってしまう。
そこそこに人の多い祭り会場だったが、この後、もっと人が増えることだろう。
「とりあえず、そこ座ろ。」
芽瑠が指差したのは、階段だった。
競走倍率の高いベンチは避けて、とりあえず階段に座っておこうという意図だろう。
ずらっと並ぶ屋台と少し上から眺めている感じだ。
「なんか買ってくるよ。雪花と翔吾はここで待ってて。玲央、行くよ。」
芽瑠の合図で、2人は動き出す。
階段を下りていく2人の後ろ姿をぼんやりと眺めていた。
オフホワイトの生地にオレンジの花柄が散りばめられた、私が選んであげた浴衣が、芽瑠によく似合っている。