囚われの小説家と使用人〜私の王子〜
「真斗さん、ごめんなさい。私はあなたの気持ちに応えられません。ここであったことは誰にも言いません。なので、私のことは忘れてください」

私はそう言い、葵さんの手を引いて別荘を出る。ドアの向こうに見えた青空や太陽の光に、私は涙をこぼした。



あれから二ヶ月ほど経った。私は相変わらず小説家をしている。もうすぐ第三章が完成するな。

私は、監禁されていたことは宣言通り誰にも言っていない。お父さんや友達、そして森田さんには心配されたけど、「小説を書くのに夢中になっていました」と答えている。

真斗さんとはあれ以来会っていない。何も日常は変わっていないように見えるけど、少し私の周りは変わった。

小説を書き終えた頃、私のスマホにLINEが届く。送られてきたメッセージを見て、私は頬を緩ませた。

「すぐに向かいます!っと……」

返信を返し、私はかばんを手に外に出る。赤いチェックのワンピース。彼と会う時は着物のことが多かったから、久しぶりの洋服だ。
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