ふたつの羽根

「りーな。嫌?」


再度、耳元で呟かれる声にあたしは精一杯、首を振る。 


「嫌じゃないけど…」

「けど何?」

「馬鹿みたいだけど正直に言っていいかな?」

「うん、何?」

「怖いんだ…前の苦しみから脱出できてない」 


怖いよ…

また捨てられたら怖いよ。 


陸はきつく抱き締めていた手をスッと離し、あたしの頬に触れる。


「そんなの俺が消してやるよ」 


陸の吐息がかかった瞬間、あたしの唇と陸の唇がそっと重なり合った。 


一度離れた陸の唇が微かに動く。 


「里奈が好き…」



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