ふたつの羽根
心の何処かで待ち望んで言われて欲しかった言葉。
“好き”と言う言葉。
あたしも…
「あたしも陸が好き」
もう一度、重なり合う唇にただあたしは、それ以上言葉を出す事はなかった。
だけど本当にあたしは陸の事が好きになっていた。
この住んでいる街は、いつも汚れていると思ってた。
絶対に光もなければ幸せなんてあるはずがないと思ってた。
だけど、こんな汚れた街でくだらなく見える毎日の中にも隠されていた幸せがあった…
降り注いでくる陸の優しい唇と重ね合わすと嬉しさとして、また新しく目からは一粒の光が落ちていた。