ふたつの羽根
「ごめんね。ちょっと話し込んじゃって…。結構待ってた?」
「待ち過ぎたっつーの。だってHR前からここにいたし」
HR前って…
呟くようにして言う陸に思わずあたしは笑う。
「それは待ち過ぎだね」
「あぁ」
先を歩く陸は手に持っていた鞄をしっかりと肩に掛け両手をポケットに突っ込む。
その拍子に下にさがっていたズボンが、よりいっそう下がった。
手…
繋ぎたいな。
陸の後ろ姿に見惚れていたあたしは陸との距離がさっきよりも開く。
それに気付いた陸は後ろ振り返り「りーな」と叫びポケットに突っ込んでいた左手をあたしに差し出す。