ふたつの羽根

その差し出された手を見て、あたしは笑みを漏らす。 


駆け足で近づき、そっと陸の手に自分の手を絡ませる。 

陸の手はいつも暖かくて、その温もりがあたしを癒してくれる。


しばらく歩き川原沿いとは反対方向の道を進む陸に「何処行くの?」と問い掛ける。 


「俺んち。里奈に言っておきたい事もあるし」

「えっ何?」


陸に目を向けると「んー…行けば分かる」と、うっすら笑う。 


行けば分かる?

何があるのか分からないけど、その言葉に従うように軽く頷き足を進める。


少し距離があったけど陸が隣にいるだけで遠さなんて、まったく感じなかった。


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