ふたつの羽根
一軒の家に着き陸の部屋に入ると、黒一色で埋めつくされるシンプルな部屋だった。
カーテンも黒だから部屋の中が一段と暗く感じる。
初めて入る陸の部屋。
「部屋、綺麗だね」
「そっか?」
陸は鞄をベッドに投げ捨てカーテンを開ける。
一瞬にして部屋が明るくなり陸は窓に手を掛け少し開ける。
柔らかい風が入り込みチラチラとカーテンが揺れる。
「適当に座って」
「あっ、うん」
あたしはガラステーブルの前に腰を下ろす。
陸はポケットからタバコを取り出し腰を下ろしながらベッドに背をつけ胡坐を掻く。
タバコをくわえてカチッと火を点ける陸を見ながら、あたしの目はテーブルに移す。