ふたつの羽根
アクセルを踏みながら陸は深く息を吐き口を開く。
「つーか…何で俺が拓真のパシリなわけ?」
呟くようにして言う陸が何だか面白くなり、あたしは声に出して笑う。
「仕方ないじゃん。陸しか免許持ってないんだし」
「まぁーな。アイツ電車ダルイって言ってたしな」
昨日、拓真先輩に言われたシェーカーを買いに行く。
あたしは行った事ないんだけど、車で1時間ぐらいかかる所に凄く有名な雑貨屋がある。
拓真先輩いわく、そこでしか買わないらしい…。
まっ、あたしは陸と出かけられるって事だけで凄く嬉しいんだけど。
車が走るにつれて周りの景色は大きな建物とビルで埋まっていく。
他愛もない会話をしながら着いた先は大通りを囲むようにして杉の木が立っていた。