ふたつの羽根

陸の誕生日はとっくに過ぎたけど、とにかくあたしがあげた物を一つでも持っててほしいと思った。


あたしはZippoが売ってある店に入りショーケースに軽く手を触れ、端から端まであらゆるZippoを見る。

陸が持っているのは何もないシンプルのやつだから何か絵が刻まれてるやつがいいんだけど…


シンプルでもなければ十字架でもない。


全然いいのが見つからず諦めた時、縦長のショーケースの中に入っている一つのZippoが目に入った。


あたしはそこに行きショーケースにへばりつくようにして、しばらくZippoを見つめた。 



「何かお取りしましょうか?」 


パッと横を振り向くと店員さんが笑顔で立っていた。

あたしはその店員さん「あっ、はい」とすぐに返す。 


< 135 / 275 >

この作品をシェア

pagetop