ふたつの羽根
消えそうな声で密かに呟くと陸はフッと笑って、あたしの背中に手を回した。
自分から言った事のない言葉に恥ずかしくなり、思わず陸の胸に顔を埋める。
「可愛い」
そう囁いてうっすら笑う陸に、あたしの熱が余計に増す。
冷えていた体が一瞬にして陸の体温で温められる。
「里奈?」
呼ばれた声に反応して陸を見上げた瞬間…
陸の唇があたしの唇へと落ちてきた。
幸せだと思った。
この瞬間が…
だから、もう過去なんて関係ないよ。