ふたつの羽根
「あっ…今、何してんのかなって思って…」
「あー今、雅人と圭介でバッティングセンターにいる」
「そっか…」
「えっ?里奈どーした?」
陸はあの人に会ったんだろうか。
それともあの人から陸に…
ザワザワとする胸の騒めきを落ち着かせ平然を装った。
「ううん、何でもない」
「今から行こうか?」
「いや…いいよ。もう寝るから」
少しでも声が聞きたかった。
今日の出来事が嫌なぐらい蘇ってくる中、陸の声を聞かないと眠れそうになかったから。
電話を切ったあとベッドに顔を埋め目を閉じた。