ふたつの羽根
求める愛
8月半ば…
久しぶりの学校。
登校日。
「なんか里奈と会うの久しぶりじゃん」
「…だね」
夏服というのに凄く服が重く感じて、あたしの心も今だに重く感じる。
窓を開けるとジワッとした蒸し暑い風が入り込む中、周りを見渡すとウチワでパタパタと数人が仰いでいる。
「里奈どーした?元気ないじゃん」
「あー…うん」
「夏バテ?」
「そーかも…」
正直、夏バテよりかもっと気が重い。
有亜は、もちろんあたしの事を知らない。
ってか、そんな事は当たり前。
だって、あたしが話してないんだから…。
担任が入ってくるなり教室の中は騒めきを増す。
「ま…雅人、焼けたね」
目の前の有亜が斜め後ろに目を向けながら、うっすら笑う。