ふたつの羽根

隣に目を向けると「久しぶり」と田上が椅子に腰を下ろした。


「ってか、お前ら全然焼けてねぇじゃん」


田上が言うのも無理がない… 

だって、焼けると言う事をしていないんだから。


有亜はうっすら笑って「美白」と答える。


「美白ねぇ…。里奈は?」

「えっ?」

「陸とどっか行ってねぇの?」


り…陸?

突然、話を投げ付けられたあたしは戸惑う。


「えっ、行ってるけど…」 

「けど?」

「あっ…」

「けど何?」

「いや…何でも」


そんなあたしの姿に有亜と田上は不思議そうに首を傾げながら見つめる。


どうしよう…平然を保てない。


ザワザワと騒ぐ教室の中、担任が出ていった後あたしは席を立ち階段を掛け下りた。 


< 180 / 275 >

この作品をシェア

pagetop