ふたつの羽根

保健室のドアを開けた瞬間あまりの人の多さで、あたしはドアを閉めなおす。


ため息をつきながら重い足取りで階段を上る途中、グイッと誰かに腕を掴まれた。 


えっ… 


恐る恐る後ろを振り返ると、そこには目を見開くような人物が立っていた。



「……純也」


呟くように言うと純也は一息吐き、あたしの腕を離す。 

ずっと見つめてくる純也に「何?」と返す。


純也は迷う事なくすぐに口を開いた。 


「お前さ…先輩とうまくいってないの?」


突然言われた“先輩”と言うのは陸の事だろう。

あまりにも驚きすぎて、あたしの口は一向に開かない。 


純也が陸の事を?

何で?

何がいいたいの?


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