ふたつの羽根
「里奈さぁ、夏休み入る前から元気ないよな。俺ん時よりも…」
えっ?
俺ん時よりも?
「どー言う事?」
「だから悲しい顔、多すぎ。俺ん時はそんな顔、一切してなかったのに…」
えっ、ちょっと待ってよ…
「純也、何言ってんの?あたし純也といた時、ずっとずっと苦しかったよ?」
「苦しかっただけ。だけど悲しそうな顔と泣きそうな顔は一切見せなかったよな」
純也から突然突き付けられた言葉に返す言葉が何もなかった。
確かにあたしは純也といる時は苦しいだけで涙なんて出していなかった。
だから純也の言った事は正直あたってるんだ。