ふたつの羽根
「陸のバカッ」
あたしは鞄を抱えて陸の部屋を出た。
今まで渡そう、渡そうと思っていたけど、なかなか渡せなかった物。
初めて陸と訪れた時に買ったZippo…
こんな形で渡すつもりは無かったのに。
こんな事じゃ駄目だと
思う自分と…
これでいいんだと
思う自分が…
攻めぎ合う。
きっと陸はあたしに幻滅しただろう。
家に帰った途端、今までの全ての感情が溢れるかのように、涙は止まる事を知らなかった。