ふたつの羽根
その答えに何も答えず、あたしは陸の身体をゆっくり離し、足元にある自分の鞄を抱え込み歩きだした。
「里奈ッ」
背後から聞こえてくる陸の声。
“里奈が好きだよ”
そう、陸の声でもっと言ってほしかった。
陸の声を聞くたびに、あたしの胸は高鳴る。
だけど…
あたしは陸の親友である拓真先輩に身体を求めてしまった。
最低だよあたし…
ねぇ?
こんなあたしでもいいの?
ねぇ陸?
それにあたしは
あの人には勝てない。