ふたつの羽根

「なぁ、聞いてんのかよっ」 

「おいっ」


だんだん荒らただしくなる声とともに、あたしの腕をギュッと掴まれた時だった…  


「ごめんねぇー。その子あたしと約束してんだ」


…えっ?

不意に聞こえた明るい女の声に、あたしは思わず伏せていた顔を上げる。


視界に飛び込んできたのは同じ制服の女。


って、この人…

目を見開くあたしとは逆に、その人はニコッと微笑む。 


「へぇーあんたも美人じゃん。じゃあ、あんたも来なよ」 


軽い口調の男の言葉に「ばーか。あんた達と遊ぶヒマはねぇんだよ」と女の人は勢いよく吐き捨てた。


「あ?」


言い方に気に食わなかったのか一人の男は眉を寄せ鋭い目付きで女の人の腕をギュッと掴んだ。


その瞬間…


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