ふたつの羽根

携帯を開けては陸の名前を呼び出してはすぐに消し、何度やっても通話ボタンに指はいこうとはしない。


学校帰り、薄暗い街中をブラブラ歩いていると、あたしの足はピタッと止まった。 


ショーウィンドーに映る自分の姿。

すごい惨めな顔をしている。 


その自分を映しだす姿の奥に見えたのは純白のウエディングドレス。


まるで“そんな顔してると一生着れないよ”とでも言いたそうにキラキラと輝かせている。

その横にあるのは真っ赤なカクテルドレス。


そのドレスさえも叫んでいるようだった。


“身も心も燃やしつくしなよ”ってね…


そんなドレス達に“煩いよ”と返す自分がいた。



冴えない心のまま足取りを家まで運ぶと玄関の石段に両膝を曲げギュッと腕で抱え込む人影を目にした。





「…有亜?」


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