ふたつの羽根
「早く行きなさい」
「ってか居ないって言ってって言ったじゃんか」
「居るって言ったんだから仕方ないでしょ」
何それ…最悪。
「誰?」
「さぁー知らないけど女の人」
ママはそう言ってスリッパの音をパタパタと鳴らし階段を下りていった。
ってか女って誰?
有亜なら勿論知ってるし。
あたしはくるまっていた布団をはぎ取りカーテンの隙間から外を見た。
だけど、ここからの位置からじゃ、全然見えなくて仕方なくあたしは階段を駆け下りた。
そして、外に出るなり真っ赤な車の横に立つ人物に眉を寄せた。
「何ですか!家まで来て」