ふたつの羽根
そう声を張り上げると彩乃さんは「そんな怒らなくても」とため息をついた。
怒らなくても?
どう考えても怒りますけど…
そんなの当たり前じゃん。
「帰って下さい」
彩乃さんはいつもの笑みでフフッと笑い「そう言われても仕方ないわね」と声を漏らした。
そして彩乃さんの口から出た言葉に耳を疑った。
「あなたには本当に悪い事したわね。陸と仲良くしてちょーだい」
「…えっ?」
信じられなかった、この人から謝りの言葉がでるなんて…
でもこんな謝りで許したくなかった。
何度も何度も苦しんだのに。
どれだけ流したか、分からないぐらいまで涙出したと思ってんの?