ふたつの羽根
「陸は本当にあなたに一途なようね。この1ヶ月間ずっと陸はあたしの所まで来てたわ」
「えっ…。来て…た?」
「そう。お前じゃ駄目だ…って、ずっと言いに来てた。あなたの為にね…」
会ってない分、陸の行動なんて全く分からなかったけど、陸がそんな事、1ヶ月も言いに言ってたの?
ホントに何も知らなかった。
あたしの為って何?あたしの為に言いに言ってたの?
馬鹿じゃん。何であたしの為にそこまですんのよ…
「それと、あたしまた留学する事にしたから、あなた達の邪魔はしないから。…それとこれ」
彩乃さんは白い紙袋をあたしに差し出した。
呆然とするあたしに“早く受けとんなよ”と言いたげに袋を突き出してくる。