ふたつの羽根
「好きだねぇ…」
有亜は呆れ交じりに呟き派手な鞄を抱え込んであたしの隣に腰を下ろす。
シャー…
っと言う音と同時に有亜の膝に置かれている鞄の口が一気に開き、中からあらゆる物が姿を現してくる。
その中から真っ黒な地にシルバーストーンがちりばめてある鏡を取出し、それをパカッと開ける。
有亜が顔の前までもってくると鏡を挟んでバッチリ有亜と目があった。
あっ…
お互い声も出さずに口だけポカーンと開け、鏡を通してうっすらと笑い合い、有亜は目線をずらし髪に触れる。
相変わらず有亜は鏡を見るのが好きだ。
そう思い、あたしは大道りに目を向ける。