ふたつの羽根
「ちょっと里奈」
教室に入ってすぐ飛び込んできたのは有亜の声だった。
「おはよ」
気のない返事をして席につくあたしを見て有亜は「昨日…」と力強く声を出してきた。
「里奈さ…昨日道端で揉めてたんでしょ?」
げっ!昨日と言うのはまさしく“あれ”だ。
恐る恐る有亜を見ると、あたしの机に頬杖をつきマジマジとあたしの顔を見る。
「誰かに聞いた?」
「聞いたも何も学校に着くなり声は飛びかってたよ」
呆れ交じりに話ながら有亜はため息をついた。
最悪だ!
「あいつとは、もう終わったから」
有亜にそつ告げて席を立ち上がり鞄を抱えて勢いよく後ろに足を引く。
「いってー」