ふたつの羽根
溢れる涙
ザワザワと賑わう教室から次々と姿を消す生徒達。
放課後、あたしは前に座っている有亜の肩を軽く叩く。
振り向いた有亜を見て「あー…」と、あたしは声を漏らした。
有亜の唇は、さっきよりも光っていてグロスがたっぷりと塗ってある。
微笑んで首を傾げる有亜に「コウキさん?」と訪ねる。
「うん」
頷いてすぐ有亜は鞄の中に鏡を突っ込み「あっ!」と声を上げ、あたしの机に鞄を置く。
「もしかして里奈なんか用あった?」
「いや…別に…ないかな」
曖昧な返事を出し首を傾げるあたしに有亜は笑う。
「何その返事」
あたしは有亜の鞄を手に取り「早く行きなよ」と言って有亜に鞄を押しつける。